AIDSの豆知識
エイズの始まりと最新事情
エイズ(AIDS)の原因ウィルスであるHIVは、類人猿を起源としてアフリカから拡がったことが知られています。1960年代から主に子供が罹患するカリニ肺炎を大人が発症する事例が世界的に増えてきます。カリニ肺炎の増加をきっかっけに、原因不明の後天性免疫不全症候群(Acquired immune deficiency syndrome)が知られるようになります。病名の頭文字からAIDSと呼ばれるようになりましたが、AIDSの原因ウィルスとしてHIVが特定されたのは1983年になってからです。
HIVは血液感染により拡がることから、覚せい剤の打ちまわしや、男性間性交で拡がりました。現在も感染者バックグラウンドに大きな変化はありませんが、管理下において輸血感染や母子感染は避けられるようになっています。
最初の抗HIV薬(AZ-T)が登場するのが1987年です。その後も死のウィルスとして大変恐れられてきました。性感染症により命を落とすというショッキングな事例です。HIVは潜伏期間が約10年と長期に及ぶため、自覚症状がないままパートナーに感染を拡げ続けたという不幸な歴史があります。
現在は、高感度なHIV検査が普及したため感染を早期に発見できます。感染者であっても、優れた抗HIV薬により血液中のウィルス量を劇的に減らすことができますから、AIDS発症や他人への感染を抑えることができるようになってます。
さらに最近では、感染防止を目的に、事前に抗HIV薬を服用することも行われるようになり、感染コントロールが一段と進化したといえるでしょう。