薬剤耐性菌(取り組み紹介)
抗菌薬は多くの感染症から人類を救ってきました。その歴史はペニシリンに始まる1940年代に遡ります。これまで、膨大な数の抗菌薬が生まれ、様々な感染症の治療薬として使用されてきました。
一方で、病原菌も進化を遂げており、抗菌薬の効果を回避する能力を得て生き残ってきました。そして遂に、世の中に存在するすべての抗菌薬が効かない病原菌まで登場しています。
残念ながら、性病の原因菌についても薬剤耐性化が進んでおり、抗菌薬が効かなかったり効きにくい事例が増えています。
性病治療で多用される「マクロライド系」抗菌薬に対して、近年、薬剤耐性症例が増加傾向にあります。このような場合、「テトラサイクリン系」や「ニューキノロン系」などの他の抗菌薬に変えることが治療に効果的と考えられますが、これらの系統の抗菌薬に対しても薬剤耐性菌が出現しています。
薬剤耐性に関するこれまでの研究から、どの遺伝子がどのようにして抗菌薬の効果を消し去るか判明しています。逆に薬剤耐性に関する遺伝子を解析すれば抗菌薬の効果も予測可能となります。
そこで当検査所では、治療がうまく行かない場合に、効果的な抗菌薬は何かを探るための薬剤耐性遺伝子解析に取り組んでいます。