多くの性感染症は早期に治療を開始すれば完治します。一方で、一度感染すると厄介な性感染症も知っておきましょう。

HIV

AIDSの原因ウィルスであるHIVは、レトロウィルスと呼ばれる種類のウィルスです。一度感染すると免疫細胞や神経細胞に侵入します。増殖すると免疫細胞を破壊してしまいAIDSを引き起こします。

抗HIV薬が開発されていますが、今のところ薬でウィルスを完全に除去することはできません。抗HIV薬を飲み続けることでウィルスの増殖を抑え、AIDS発症や他人への感染を防ぐことが精いっぱいです。

抗HIV薬には副作用が伴うため、どうしても薬を飲めない休薬期間があります。そして休薬のたび、あなたは一生、AIDS発症の心配をしながら過ごすことになります。

梅毒

梅毒は早期発見すればペニシリンで完治します。しかし、投薬期間が長期におよぶため治療継続に課題が生じます。そこで近年では、一回の治療で完治が望める注射薬も登場しました。治療については安心できると言えるかもしれません。

一方、梅毒は一度感染すると体内にTP抗体と呼ばれる抗体が作られます。この抗体に予防効果はないので梅毒は何度でも感染するのですが、TP抗体の有無が梅毒検査で指標として使われています。

厄介なのは、梅毒が完治しても体内からTP抗体が消えないことです。検査を行うたびに過去の梅毒感染が分かってしまいます。

まるでタトゥーのように、一生消えない梅毒の証拠が残ります。