強い感染力に注意
「おすすめ検査」に採用している性感染症についてご紹介します:
クラミジア(Chlamydia)
性器クラミジアは、クラミジア菌により引き起こされる代表的な性感染症のひとつで、主に性行為や性行為に準じる行為によって、粘膜や分泌物を介して感染します。
推計では20代女性の20人にひとりが感染していると言われます。非常に感染力が強く、1回の性交で感染する確率は50%にも上ります。男性の場合は痒みや不快感を伴う尿道炎を引き起こすことが多く、症状により気付きますが、女性では無症状であることが多く、気付かないままパートナーに感染を拡げていきます。
また、未治療で放置した場合、感染が子宮から卵管にまで進行し卵管が癒着して排卵ができなくなります。将来の不妊や子宮外妊娠といった深刻な健康問題を引き起こすので、早期に治療することが望ましいです。
オーラルセックスでも容易に感染するので、行為後にのどの痛みやリンパ節の腫れを感じたら検査をお勧めします。
検査で感染が判明した場合、早期であれば抗菌薬を飲むだけで完治します。しかしながら、治療が遅れて生じた子宮や卵管の損傷は容易に回復しません。一刻も早い治療が必要です。
淋病(Gonorrhea)
淋菌により引き起こされる代表的な性感染症のひとつで、主に性行為や性行為に準じる行為によって、粘膜や分泌物を介して感染します。
推計では20代女性の100人にひとりが感染していると言われます。非常に感染力が強く、1回の性交で感染する確率は50%にも上ります。男性では淋菌性尿道炎を発症し、排尿時の痛みや尿道から膿が出てくるため、症状により気付くことが多いですが、男女ともに初期症状は軽度で、特に女性では無症状であることが多く、気付かないままパートナーに感染を拡げていきます。
症状が出る場合、おりものの量や色に変化がみられ、やがて不正出血の症状も出てきます。炎症が広がると、子宮内膜炎、卵管炎、卵巣炎、骨盤腹膜炎などの重大な炎症性疾患へと進行します。将来の不妊や子宮外妊娠といった深刻な健康問題を引き起こすので、早期に治療することが望ましいです。
淋菌感染の場合、クラミジアとの重複感染が多く見られます。また、HIVへの感染確率が高まることも知られています。
オーラルセックスでも容易に感染するので、行為後にのどの痛みや声のかすれを感じた
ら検査をお勧めします。
検査で感染が判明した場合、早期であれば抗菌薬を飲むだけで完治します。しかしながら、治療が遅れて生じた子宮や卵管の損傷は容易に回復しません。一刻も早い治療が必要です。
トリコモナス(Trichomonas)
トリコモナス原虫が性器内部に侵入することで膣トリコモナス症を発症します。幅広い年齢層で感染が確認されますが、日本の場合、20~30代女性を中心に感染者が多く、女性全体では10%程度が感染しているといわれます。
代表的な症状は激しい膣炎ですが、感染者の50%ほどは最長6カ月に及ぶ潜伏期間中は無症状で過ごすため、この間に感染を拡げます。男性の場合、ほとんど症状は現れませんが、それはトリコモナス原虫が前立腺や精囊などに棲みつき尿道に出てくることが少ないからです。症状は出なくても前立腺炎を伴っていることが多く、将来の前立腺がんの原因にもなります。
トリコモナス原虫はきわめて感染力が強く、性行為や性行為に準じた行為のみならず、感染者とお風呂やタオル、トイレを共有することによっても感染します。
マイコプラズマ(Mycoplasma)
ウレアプラズマ(Ureaplasma)
性感染症としては、マイコプラズマの一種、マイコプラズマ・ジェニタリウムが日本で
は2022年から保険適用となっています。しかし、別種のマイコプラズマ・ホミニスおよびウレアプラズマ類は未だ保険適用されていません。そのため、これまで知名度が低く検査も普及していませんでした。最近では、性感染症においての重要性が認識されはじめ、保険適用外(自由診療)で、マイコプラズマ及びウレアプラズマの検査を扱うところが増えています。
これらは他の性感染症と同様、性行為や性行為に準じる行為によって感染が広がりますが、キスなどでも感染する強い感染力が特徴です。1回の性交で感染する確率は30~50%といわれており、検査が普及してないこともあって、無自覚な感染者数は相当なものと考えられます。
症状は性器クラミジアや淋病によく似ており、男性では尿道炎として症状が出やすい一方、女性では無症状であることが多く、気付かないままパートナーに感染を拡げていきます。
違和感があるにもかかわらずクラミジアや淋菌の検査で陰性であった場合、マイコプラズマやウレアプラズマが疑われます。また、他の性感染症との重複感染も多く見られます。
未治療で放置した場合、感染が子宮から卵管にまで進行し、卵管が癒着して排卵ができなくなります。将来の不妊や子宮外妊娠といった深刻な健康問題を引き起こすので、早期に治療することが望ましいです。
オーラルセックスでも容易に感染するので、行為後に咳が出たりのどに違和感を感じたら検査をお勧めします。
検査で感染が判明した場合、早期であれば抗菌薬を飲むだけで完治します。しかしながら、治療が遅れて生じた子宮や卵管の損傷は容易に回復しません。一刻も早い治療が必要です。
カンジダ(Candida albicans)
カンジダ属の真菌(カビの一種)により発症する腟カンジダ症では、おりものの増加が頻繁に見られます。おりものはヨーグルトやカテッジ・チーズのような白っぽい塊になることが特徴なので、普段と異なるおりものが下着に付着することで、腟カンジダ症に気付くことも多いです。外陰部や腟に眠れないほどの強烈なかゆみを伴うことが腟カンジダ症でみられる症状です。
ところが、カンジダ属の真菌は膣内に常在していることが珍しくない細菌の一種なのです。カンジダ感染者との性交により発症する一方、不衛生な状態が続いたり、免疫力が落ちることで膣内の細菌バランスが崩れてしまうと、もともと膣内にいたカンジダ菌が勢いを増して膣カンジダを発症するようになります。過度の膣洗浄やホルモンバランスの不安定化によっても膣内の最近バランスが崩れてしまい、膣カンジダが発症することも知られています。
男性の場合、カンジダは亀頭包皮炎の原因になります。陰茎に強いかゆみや痛みを伴う炎症が起きたり、陰茎先端から膿が出たりするので治療が必須となります。
性器カンジダは、男女とも、抗真菌薬による治療で完治しますので、重症化する前に早期に治療を開始してください。
性感染症を治す・防ぐ
性感染症は、性行為や血液を介した感染によって広がる病気であり、健康に深刻な影響を及ぼします。しかし、適切な予防策と早期の診断・治療を行うことによって予防や管理は可能です。
性感染症は、早期の診断と治療も重要です。定期的な検査を受けることで、感染の早期発見と治療が可能となります。感染が疑われる症状がある場合は、早めに検査を受けましましょう。